伊良部氏死去


ちょっと前の話になってしまいますが、2003年のV戦士であった元阪神伊良部秀輝氏が7月下旬、亡くなられました。享年42歳。


訃報のニュースを見て、真っ先に思い出したのは2003年の開幕2戦目、移籍してきた伊良部の初登板試合を横浜スタジアムで観戦していたことでした。
何せ当時の阪神は、2003年に18年振りのリーグ優勝を果たすまで最下位が定位置という暗黒時代でしたので、俺はそれまでライブ観戦で勝った試しがなく、この日リードはしていたものの終盤にピンチを迎えたマウンド上の伊良部に両手を合わせて、文字通り祈るような気持ちで観戦していたのを覚えています。そして、見事ピンチを抑えて、人生で初めて勝ち試合を球場で見せてくれた伊良部はこれまでの阪神の選手の中でも特に印象に残っている一人です。


プレー以外で何かと紙面上を賑わすことが多かった人ですが、チームメイトや関係者から悪い話が出たところを、少なくとも俺は見たことがありません。見たことがあるのは、本当に野球が好きで、後輩には丁寧に自分の知識や技術を教えてくれる面倒見の良い人という話ばかりです。
楽天星野監督も仰ってましたが、ヒール的なイメージはマスコミに作られたもので、当の本人は強面な風貌に反して繊細すぎるほど繊細な人だったようです。それが今回、最悪の形で出てしまったのかなと思います。
自殺という道を選んだ当人の心情は想像もできませんが、死んでしまっては何にもならないというのが自分の信条ですので、残念としか言いようがありません。


ヒーローインタビューで甲子園の印象を聞かれて、「いやあ、甲子園は世界一っすよ」とはにかみながら答えていたのが特に印象に残っています。メジャーでの経験も豊富な人でしたので、非常に説得力がありました。
故人のご冥福を心よりお祈り申し上げます。